厚生労働省から「ブラック企業への立入調査結果発表」が
あったことは、皆さん報道でご存知の通りだろう。
本年9月に全国5,111事業所に調査が入り、その8割、
4,189事業所で労基法違反があったことが判明した。
本件について、昨日と今日はメディア各社さんから取材攻勢
を受け、各番組&各誌でコメントさせて頂いた。
ただ尺的にすべて報道されることはないであろうから、
以下に要点を表明しておきたい。
<この数字は、これまでの労働行政の必然的結果である>
もちろん、違法状態を看過している企業に問題があるわけだが、
「この程度の違法は当たり前」という雰囲気を創ってしまった
のは他ならぬ労働行政であり、司法判例である。
これまでも繰り返し述べてきたが、現在の労働法規は、終戦直後
の不当解雇が横行していた頃に成立したもので、解雇規制が
厳しい割に、他の法規違反には比較的柔軟な対応をしている。
解雇には厳しく向き合う一方で、サービス残業などについては
ほぼ黙認状態であったわけだ。
したがって、法規制としては存在してはいるものの有名無実化
しており、それが既成事実となってしまっていることが
そもそもの問題なのだ。
そのせいもあろうか、
「労基法を完璧に守ってたらビジネスなんてできない」
と堂々と言い放つ経営者も多く存在している。
<日本をどのような国にしたいか、
というレベルの判断が求められる>
ではどうしたらいいのか。大まかに判断は2種類に分かれるだろう。
おもに共産党が主張しているような「規制厳格化」路線か、
逆に規制を緩和する「雇用流動化」路線かだ。
前者は「サービス残業が発覚した場合、残業代を2倍にする」
とか「労基署職員を増やし、労基法違反は厳罰化する」
といったやり方だ。
しかし、既存法でも「残業は違法」と明確に定義されており、
その法さえロクに守られていないのに、更に厳しくしたとしても
違法企業とのいたちごっこが続くだけではなかろうか。
私個人の意見としては、後者の「流動化」こそより現実的だと
考えている。流動化には「解雇規制緩和」の議論がつきもの
なので、必ず感情的な反発とセットになってしまうのだが、
一度真剣に向き合った方がよい。
そもそもなぜブラック企業の社員は、厳しい労働環境なのに
辞めないのか?
多くは、「辞めたくても辞められない」からだ。
なぜなら「失業時の保障が手薄」であり、かつ
「正社員の採用基準が厳しく、再就職しにくい」からだ。
雇用保険料の料率は健保や年金に比べてケタ違いに低く、
失業リスクが高い。かつ正社員は法規制によってクビに
しづらいから、採用側は「絶対に間違いない人を選びたい」
と考え、採用基準は必然的に厳しくなる。
ということは逆に、雇用保障を企業側の責任に押し付けるの
ではなく、国が引き受けてセーフティネットを整備し、同時に
解雇規制を緩和すれば「お試し」的に採用ができるようになり、
新たな雇用が生まれる可能性が高くなろう。
(企業側も、「転職回数で人材価値を判断する」といった
基準からのパラダイム転換が求められるが)。
このような形で人材の流動化が進めば、ブラック企業からは
躊躇なくどんどん人材が流出し、中長期的には淘汰されて
いくはずだ。
労基法制定時から産業構造も社会情勢も変化した今、
労使双方にメリットがある労働市場の流動化策を促進すべく、
抜本的に現在の枠組みを見直すタイミングが来たと考えて
いいだろう。
あったことは、皆さん報道でご存知の通りだろう。
本年9月に全国5,111事業所に調査が入り、その8割、
4,189事業所で労基法違反があったことが判明した。
本件について、昨日と今日はメディア各社さんから取材攻勢
を受け、各番組&各誌でコメントさせて頂いた。
ただ尺的にすべて報道されることはないであろうから、
以下に要点を表明しておきたい。
<この数字は、これまでの労働行政の必然的結果である>
もちろん、違法状態を看過している企業に問題があるわけだが、
「この程度の違法は当たり前」という雰囲気を創ってしまった
のは他ならぬ労働行政であり、司法判例である。
これまでも繰り返し述べてきたが、現在の労働法規は、終戦直後
の不当解雇が横行していた頃に成立したもので、解雇規制が
厳しい割に、他の法規違反には比較的柔軟な対応をしている。
解雇には厳しく向き合う一方で、サービス残業などについては
ほぼ黙認状態であったわけだ。
したがって、法規制としては存在してはいるものの有名無実化
しており、それが既成事実となってしまっていることが
そもそもの問題なのだ。
そのせいもあろうか、
「労基法を完璧に守ってたらビジネスなんてできない」
と堂々と言い放つ経営者も多く存在している。
<日本をどのような国にしたいか、
というレベルの判断が求められる>
ではどうしたらいいのか。大まかに判断は2種類に分かれるだろう。
おもに共産党が主張しているような「規制厳格化」路線か、
逆に規制を緩和する「雇用流動化」路線かだ。
前者は「サービス残業が発覚した場合、残業代を2倍にする」
とか「労基署職員を増やし、労基法違反は厳罰化する」
といったやり方だ。
しかし、既存法でも「残業は違法」と明確に定義されており、
その法さえロクに守られていないのに、更に厳しくしたとしても
違法企業とのいたちごっこが続くだけではなかろうか。
私個人の意見としては、後者の「流動化」こそより現実的だと
考えている。流動化には「解雇規制緩和」の議論がつきもの
なので、必ず感情的な反発とセットになってしまうのだが、
一度真剣に向き合った方がよい。
そもそもなぜブラック企業の社員は、厳しい労働環境なのに
辞めないのか?
多くは、「辞めたくても辞められない」からだ。
なぜなら「失業時の保障が手薄」であり、かつ
「正社員の採用基準が厳しく、再就職しにくい」からだ。
雇用保険料の料率は健保や年金に比べてケタ違いに低く、
失業リスクが高い。かつ正社員は法規制によってクビに
しづらいから、採用側は「絶対に間違いない人を選びたい」
と考え、採用基準は必然的に厳しくなる。
ということは逆に、雇用保障を企業側の責任に押し付けるの
ではなく、国が引き受けてセーフティネットを整備し、同時に
解雇規制を緩和すれば「お試し」的に採用ができるようになり、
新たな雇用が生まれる可能性が高くなろう。
(企業側も、「転職回数で人材価値を判断する」といった
基準からのパラダイム転換が求められるが)。
このような形で人材の流動化が進めば、ブラック企業からは
躊躇なくどんどん人材が流出し、中長期的には淘汰されて
いくはずだ。
労基法制定時から産業構造も社会情勢も変化した今、
労使双方にメリットがある労働市場の流動化策を促進すべく、
抜本的に現在の枠組みを見直すタイミングが来たと考えて
いいだろう。