国や地方公共団体からの助成金は、償還義務があるものや、
年々助成額が減っていくものなどいろいろ種類があるが、
銭湯業界における助成金は非常に手厚い。
銭湯への助成金予算で行政は、各市区町村に置かれた
浴場組合の支部(以下、支部と表記)から入浴券を事前精算
で年度始めに購入し、老人ホームや生活保護者、風呂なし
アパート住民などへ配布する。
例えば、東京都大田区や江戸川区は、年間3億円程度の
入浴券を購入している。
支部は年度末に、加入している銭湯へ入浴券の枚数に応じて
精算をする。この際にも帳尻を合わせ、架空で入浴券枚数を
高めに申告している銭湯もあるようだ。
東京23区の1区当たりの平均銭湯数は50軒程度なので、
1軒平均500~600万円は精算してもらっている計算である。
この入浴券だけに依存して営業している銭湯は、東京23区内
で6割を超えるといわれている。
さらに興味深いのは余剰金の存在だ。各支部で毎年使われ
なかった入浴券に相当する売り上げ分は、余剰金としてプール
される。これは金額にして数千万円に上る。これが接待費などの
名目で使われていくのだ。支部の飲み会は熱海などの温泉街に
くりだし豪華絢爛といわれるが、それも納得である。
浴場組合役員の給与は理事レベルで年収1000万円。
理事が経営する銭湯の売り上げを加えると、トータル年収
2000万円は下らない。
組合役員たちは、大手一流企業のサラリーマンの年収を
軽く超える金額を受け取っているのである。
ただし、同じ東京でも23区外の市部ではこうもいかない。
以前は市も23区と同じ仕組みだったのだが、財政が厳しくなり、
今は券を回収して年度末にその分を購入するという事後精算
システムになった。もし区が市と同じ仕組みになったら、
「組合に加入する銭湯の半分が1週間以内になくなる」
とさえ言われている。現に、区の平均銭湯数は50~60軒程度
に対して、市の平均銭湯数は5~10軒程度なのだ。
では、なぜ市のようなシステムを区では導入しないのか。
実はここにもカラクリがある。 助成金で生計が成り立ち、
脱税も見逃される。そんな銭湯は、行政から格好の攻撃の的
になるはずだが、防衛策を持っている。
それは、議員との癒着だ。
銭湯の店主は、地域の有力者という顔も持っている。
商店会長であったり、町会長を兼任したりしているのだ。
そんな有力者が、各区に50人以上も集まっている組合が持つ
政治的なパワーは相当なものである。
実際、店主が銭湯の建て替えや改築をする時は、銀行に相談
するよりも先に地元議員へ連絡をする。すると助成金などの
名目で、資金が手に入りやすくなるというのだ。
店主個人で献金することはないが、支部単位では政治献金が
当然のように行われている。特に自民党とのつながりは強く、
新年の集まりなどには有名自民党議員が顔をそろえて
やってくる。民主党政権の時でさえも自民を応援していた
のだから、その絆は深いのだ。
具体的には、すべての出馬議員に1人当たり数万から数十万
程度は、毎度の選挙で献金しているという。
銭湯の湯は、そもそも高濃度の塩素で消毒されている。
営業中はそんな塩素入りの湯を入浴者がそこら中に散らして
くれるから、客自らがタイルの消毒をしているようなものだ。
浴槽の中の湯も、一日に何度も入れ替わるほど循環させて
いるので、清潔な状態を常に保っている。 それでも、
レジオネラ菌は出てしまう。だから週1回は、濾過器や水道管
などを煮沸殺菌する。
実は、保健所の検査項目にはタイルやカランのレジオネラ菌が
入っていないため、これさえ行っていれば保健所の調査が
入っても問題ない。
そもそも、月に1度の報告をしていれば、保健所は調査に来ない
のである。 過去にレジオネラ菌の検出で問題になったのは、
銭湯ではなくスーパー銭湯であって(その違いについては前記事
参照)、銭湯は大して掃除をしなくてもレジオネラ菌はほとんど
検出されない。
銭湯では、毎日水を抜いて掃除するということはない。
業界では、2日に1度でも掃除している人を見れば、
「無駄なことをしているね」と笑われるレベルなのだ。
いかがであろうか。多くの企業が経営努力をしながら収益を
確保している一方で、このように助成金を垂れ流す行政と
政治家、そして利権をむさぼる業界団体の存在は容赦できない。
今はまだ甘い汁にありつけているかもしれないが、この体質が
温存されることが、結果的に業界自体を衰退させてしまうこと
にもなりかねないのだ。
年々助成額が減っていくものなどいろいろ種類があるが、
銭湯業界における助成金は非常に手厚い。
銭湯への助成金予算で行政は、各市区町村に置かれた
浴場組合の支部(以下、支部と表記)から入浴券を事前精算
で年度始めに購入し、老人ホームや生活保護者、風呂なし
アパート住民などへ配布する。
例えば、東京都大田区や江戸川区は、年間3億円程度の
入浴券を購入している。
支部は年度末に、加入している銭湯へ入浴券の枚数に応じて
精算をする。この際にも帳尻を合わせ、架空で入浴券枚数を
高めに申告している銭湯もあるようだ。
東京23区の1区当たりの平均銭湯数は50軒程度なので、
1軒平均500~600万円は精算してもらっている計算である。
この入浴券だけに依存して営業している銭湯は、東京23区内
で6割を超えるといわれている。
さらに興味深いのは余剰金の存在だ。各支部で毎年使われ
なかった入浴券に相当する売り上げ分は、余剰金としてプール
される。これは金額にして数千万円に上る。これが接待費などの
名目で使われていくのだ。支部の飲み会は熱海などの温泉街に
くりだし豪華絢爛といわれるが、それも納得である。
浴場組合役員の給与は理事レベルで年収1000万円。
理事が経営する銭湯の売り上げを加えると、トータル年収
2000万円は下らない。
組合役員たちは、大手一流企業のサラリーマンの年収を
軽く超える金額を受け取っているのである。
ただし、同じ東京でも23区外の市部ではこうもいかない。
以前は市も23区と同じ仕組みだったのだが、財政が厳しくなり、
今は券を回収して年度末にその分を購入するという事後精算
システムになった。もし区が市と同じ仕組みになったら、
「組合に加入する銭湯の半分が1週間以内になくなる」
とさえ言われている。現に、区の平均銭湯数は50~60軒程度
に対して、市の平均銭湯数は5~10軒程度なのだ。
では、なぜ市のようなシステムを区では導入しないのか。
実はここにもカラクリがある。 助成金で生計が成り立ち、
脱税も見逃される。そんな銭湯は、行政から格好の攻撃の的
になるはずだが、防衛策を持っている。
それは、議員との癒着だ。
銭湯の店主は、地域の有力者という顔も持っている。
商店会長であったり、町会長を兼任したりしているのだ。
そんな有力者が、各区に50人以上も集まっている組合が持つ
政治的なパワーは相当なものである。
実際、店主が銭湯の建て替えや改築をする時は、銀行に相談
するよりも先に地元議員へ連絡をする。すると助成金などの
名目で、資金が手に入りやすくなるというのだ。
店主個人で献金することはないが、支部単位では政治献金が
当然のように行われている。特に自民党とのつながりは強く、
新年の集まりなどには有名自民党議員が顔をそろえて
やってくる。民主党政権の時でさえも自民を応援していた
のだから、その絆は深いのだ。
具体的には、すべての出馬議員に1人当たり数万から数十万
程度は、毎度の選挙で献金しているという。
銭湯の湯は、そもそも高濃度の塩素で消毒されている。
営業中はそんな塩素入りの湯を入浴者がそこら中に散らして
くれるから、客自らがタイルの消毒をしているようなものだ。
浴槽の中の湯も、一日に何度も入れ替わるほど循環させて
いるので、清潔な状態を常に保っている。 それでも、
レジオネラ菌は出てしまう。だから週1回は、濾過器や水道管
などを煮沸殺菌する。
実は、保健所の検査項目にはタイルやカランのレジオネラ菌が
入っていないため、これさえ行っていれば保健所の調査が
入っても問題ない。
そもそも、月に1度の報告をしていれば、保健所は調査に来ない
のである。 過去にレジオネラ菌の検出で問題になったのは、
銭湯ではなくスーパー銭湯であって(その違いについては前記事
参照)、銭湯は大して掃除をしなくてもレジオネラ菌はほとんど
検出されない。
銭湯では、毎日水を抜いて掃除するということはない。
業界では、2日に1度でも掃除している人を見れば、
「無駄なことをしているね」と笑われるレベルなのだ。
いかがであろうか。多くの企業が経営努力をしながら収益を
確保している一方で、このように助成金を垂れ流す行政と
政治家、そして利権をむさぼる業界団体の存在は容赦できない。
今はまだ甘い汁にありつけているかもしれないが、この体質が
温存されることが、結果的に業界自体を衰退させてしまうこと
にもなりかねないのだ。