解雇規制緩和「推進派」の意見
解雇規制緩和派のおもな主張は次のとおりである。
・日本の正社員は強く保護されて容易に解雇ができない、
非常に恵まれた存在である
・企業は、人員需要の増減に迅速に対応し、解雇リスクを
回避するために非正規の雇用を増やしてきた
・また、解雇しにくいがゆえに企業は正社員の採用に慎重に
なり、採用基準も厳しくなる
・非正規社員は整理解雇時には真っ先に解雇される不安定
な立場に置かれ、安定した正社員との対比で
「雇用の二極化」ともいうべき格差が生まれている
・非正規社員の割合が増加しつづけていることで、低所得者層
が増え、社会の不安定化と閉塞感の原因となっている
・正社員の解雇規制を緩和し、双方の雇用保障の差を
小さくすることで格差を縮小して、社会を安定化させて
いくべきである
確かに、労働者目線で考えれば雇用が手厚く保護されている
ことは有難いが、経営者側からみれば、採用した社員が仮に
「使えないヤツ」だったとしても、それだけを理由に解雇は
できないということにもなる。
結果的に正社員採用に慎重になってしまっては、本末転倒
なところかもしれない。
解雇規制緩和「反対派」の意見
一方、解雇規制緩和「反対派」の意見は、
・世界各国と比較したとき、日本の解雇規制はむしろ弱い方
であり、もっと労働者を保護すべき
・解雇規制が緩和されると、会社は社員を解雇しやすくなり、
失業者が増える
・立場の弱い人たちが企業の都合でリストラされやすくなる
・正社員を解雇したとしても、それによって非正規社員の待遇
が改善するわけでもない
・解雇を恐れる正社員は会社の言いなりになって過重労働
になり、誰も得をしない
・解雇規制は大企業には通用するが、中小零細企業では
形骸化しており、実質的な不当解雇が横行している
こちらの意見も確かに一理ある。
今は規制があることで不当解雇の抑止力になっているところが、
規制緩和によって単に「気に入らない」「ムカつく」といった理由
だけで解雇になってしまったら大変だ。
そして、最後の点もその通りである。
名の知れた大企業の場合は世間の目も厳しく、おいそれと
違法行為はできないものだが、中小零細企業は事情が違う。
経営不振となっても、従業員を異動もしくは転籍させられる
子会社も部署もなく、いきなりの解雇に踏み込まざるをえない
ケースもあるだろう。
しかも解雇された社員にとって、それを不服として裁判所に
持ち込むだけの金銭的・時間的余裕もなく、表に出ないまま
泣き寝入りを強いられているというのが現実なのだ。
当然、それらがニュースになることもほとんどない。
ーつづくー
もう「解雇規制緩和」の議論はやめよう
総合的な変化踏まえ「再定義」を
http://www.j-cast.com/kaisha/2015/02/05227037.html?p=all