●労災認定
本件は2014年5月に労働災害として認定された。
A氏を担当する弁護士の迅速な対応も大きかった。
その後、A氏の弁護士から日本郵政に対して、
「就業規則に基づき、セクハラ加害者に対してどういう調査をし、
どういう処分をしたのか、あるいはしていないのか」
について確認を入れた。
回答期限は1週間と設定したが、返答が来たのは1カ月以上
経過した7月に入ってからであった。弁護士宛てに送られてきた
回答は次のような内容だ。
【弁護士から会社への確認点】
・聴取者に対し、A氏の被害申し出による事件であることを
知らせていないのではないか
・A氏は複数の知人から「会社に事情聴取された」と聞いて
いるが、会社は本件事情について、A氏の立場をわきまえず、
片っぱしから社員に聞いて回ったのではないか
【日本郵政グループ子会社からの回答】
・聴取者に対し、A氏の申し出であることを知らせた上で
実施した
・調査対象者は限定しており、事実に反する。A氏側の
言いがかりだ
・A氏に根も葉もない虚言を言った「複数の知人」とは誰なのか、
開示せよ
しかし、A氏が知る限り、会社はA氏の複数の知人に対して、
「会社の正式な調査」と説明した上で、
「あなた(被聴取者)とA氏との間に肉体関係があるのか」
等と聞いて回っていた。またも会社は虚偽の説明を行った
わけである。
さらに問題なのは、会社は「会社内で起こったセクハラ」に
関することではなく、事件とは関係のない「個人的、かつ
性的な事実関係を、A氏本人に内密に聞いて回っていた」
ことである。
こんな調査を実施すること自体がセクハラなのだが、同社は
「正式な調査だと告げているから、セクハラではない」
という反論までしている。 この会社側の回答に対し、A氏の
弁護士は再度質問を投げた。
【弁護士から会社への再確認】
・A氏の労災認定が認められてからすでに約1カ月半も経過
しているにもかかわらず、いまだにA氏の傷病を「業務上の
負傷」と認めるか否かを決めていない理由を説明せよ
・仮に回答できない場合、その理由を示せ
・「根も葉もない虚言を言う複数の知人について開示せよ」
と主張されたが、それよりもまず、本件についていかなる
対応を行ったか(いつ、誰に、何を伝え、いかなる事項を
質問したか)を開示するのが先
この文書の回答期限を7月18日に設定したが、会社側から
返答はなかったため、そのため再度弁護士は8月22日に
督促した。すると9月1日付で返答があった。
【日本郵政からの回答】
・会社として、労災認定の期間中は、A氏の傷病を業務上
傷病として扱う予定である。もっとも、労働基準監督署に
対するA氏の申し出のすべてを会社として認めるもの
ではない
なお、会社はこの間に、男女雇用機会均等法第29条
(報告の徴収並びに助言、指導及び勧告)に基づき
東京労働局が調査に入ったことを認めている。
本件については、引き続きA氏の復職に対する日本郵政側の
対応を注視し、続報をお知らせしていく考えである。
日本郵政G子会社、セクハラ被害者に「あなたの責任」、
組織的隠蔽か 肉体関係を社内調査
http://biz-journal.jp/2014/09/post_5950.html