仕事柄、普段からいろんな論者のブラック企業論に目を通して
いるが、今週はなかなか印象的だった。
月曜に「ニコニコニュース」に載った
「『使い捨て』の何が悪いのか 覚悟を持って働く若者もいる」
という記事(http://news.nicovideo.jp/watch/nw619637)と、木曜に
公開された元インテリジェンス社長、鎌田和彦氏のブログ記事
「黒色」(http://ameblo.jp/intelligence/entry-11540967927.html)。
いずれもブラック企業について論じたもので、ほぼ同じような趣旨
の内容である。
私自身もこの論調に賛成なのだが、読者の反応が面白い。
ニコニコニュースのほうは大炎上し、鎌田氏ブログは
強く支持されているのだ。
ちなみに、主張の趣旨として共通するのは次の4点。
・社員の使い捨てとか、違法な行為はもちろんダメ
・ただ「会社の成長」や「個人の能力向上」を望むなら、
厳しい職場環境を覚悟しなければならない
・それがイヤなら辞めればよい。その自由もあるはずだ
・「長時間労働」=「ブラック」=「悪」と批判している人は、
「努力」=「搾取」と捉えている短絡的な考えである
【鎌田氏ブログへの反応】
・強く共感
・知りもしない人や会社を非難する人の心理は、
ほとんどが妬み、嫉妬だと思う
・全面的に同意!
・一時代を築いた経営者は、やはり優秀な方が多いですよね!!
【ニコニコニュースへの反応】
・クソみてぇな記事だな
・ブラック肯定とか恨まれそうな記事かいてんなー
・この記事書いた記者フルボッコwww 馬鹿なこと書くと
叩かれるいい見本。 ユニクロと一緒に死ねばいいと思うよ
・内容のほとんどがこの記者の妄想。読む価値なし
…ニコニコニュースの記者かわいそう…
(「実は書いたの私です」というオチなら面白かったのだが、
あいにくそうではない…)
1,700件近くついているコメントを見ていくと、興味深い指摘も
ありつつ、明らかに記事をよく読まずに感覚的に反応している
ものもあり、記者への同情を禁じ得ない。
同じような主張でも、どこに出すか、誰に対して発信するかで
こうも反応が違うものかと今さらながら強く気づかされた次第だ。
「ブラック企業問題に関われば関わるほど、
よく分からなくなります…」
取材をしてくださるメディアの方々皆さんおっしゃることだが、
まさにその通りなのだ。専門家の間でも「価値観」や「立ち位置」
の違いで「何をブラックとするか」の基準が異なるまま議論して
いるので、読者は混乱することになる。
さらには、記事にコメントする読者も個々の価値観に基づいて
賛同したり批判したりするため、もう何が正しくて何が正しくない
のかよく分からない状態といってもいい。
そのような中でも、私としてはなんとか問題の本質を分かりやすく
お伝えし、行動のきっかけを提供していきたいと考えている。