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Channel: ドラゴンの抽斗 ブラック企業アナリスト新田龍が語る「はたらく」「しごと」「よのなか」
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業界トップ企業に共通する「3つのメンタリティ」

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私が今まで直接関わってきた企業の中で、間違いなく5本の指に入る
「社員がモチベーションとやる気に満ち溢れた会社」について再度書こう。
ご縁あって数回研修機会を頂いた、売上高150億円、社員数500名ほどの
会社だ。

前回書いたときの話題は、
「雪で交通機関が麻痺した日の研修なのに、受講者40名は
 誰ひとり遅刻なし」
「それも全員自由参加で、シフト上の休日を使って研修を受けに来る」
「受講姿勢も全員前向きで熱心」
「現場のマネジャークラス対象の研修なのに、毎回常に経営陣も参加」
「現場社員まで理念が浸透」


…といったもので、私はそれだけでも感銘を受けていた。

今回、同社の経営陣の方々からじっくりお話を伺う機会があり、
同社がこうある理由について私なりの確信を持ったのである。

それは、同社は「業界トップ企業と同じメンタリティを持っている」
ということだ。

ちなみに、同社が属している業界はいわばレッドオーシャンであり、
世間的には不人気な職種とさえいえる。
その中における同社規模も、決してトップクラスではない。
しかし、同社の持っている「マインド」や「視点」は明らかに
トップ企業のものであった。

ではそもそも、「業界トップ企業のマインドや視点」とはどのようなものか? 
業界、規模、社歴などが違えども、トップ企業が共通して持っているのは

『圧倒的な危機感』
『ブレない判断基準』
『高い視点』

であると考えている。

・『危機感』について
業界トップ企業はトップに位置しながら、全然慢心していない。
それどころか、「2位以下になるのは死」くらいの危機感を持っている。
「自分たちが市場を開拓し続けていかねばならない」という
強い意志
と、
「トップを維持する不断の努力」が当たり前という
レベル
なのだ。
一流のアスリートが一流の所以は、
「そもそもデキる人が、なおかつ本気で努力する」
からだと言われるが、それと同じものを感じる。

・『判断基準』について
たとえ一時的には利益と相反しようとも、拠るべき確固とした
判断基準があれば、社員は迷うことなく行動できる

その基準は「ミッション」「バリュー」「クレド」などで表現されるが、
より現場に浸透しているほど、その組織はより自律的に判断して
動けることになるだろう。

・『高い視点』について
業界2位以下の企業なら、まずはトップ企業に追い付くことが
ベンチマークになる。しかしトップ企業は、「自分たちの業界の発展」
という視点で考えている
のだ。

「常にハイレベルなサービスを提供できなければならない」
⇒業界のサービスレベルの基準になるから。
「常に魅力的な組織でなくてはならない」
⇒人や組織に魅力があれば優秀な人材が入り、
 業界全体の魅力向上に繋がるから。 

いずれも、自分たちが業界全体のクオリティを担保しなければ
ならない、という強い責任感
が基となった考え方だ。


同社においても、この種のエピソードには事欠かなかった。

・中途入社歓迎会を途中で退出した高齢の社長を送り届けよう
とした役員が、件の社長から
「誰を見て仕事してるんだ!今日の主役は入ってくれた社員だ!
 俺に構わず早く歓迎会に戻れ!」
と叱責された

・新規エリアへの出店に伴い、自社運営の託児所開設を打診
したところ、社長は
「ウチだけじゃなくて、同じエリアに出店してる他社の社員さんも
 使えるようにするならいいよ」
と回答した

…などなど。
経営者がブレない高い視点をもって日々判断と行動をしている
からこそ、それが社員へと伝播し、理念の浸透に繋がっている
のだと確信できた次第だ。

「トップの地位がこのメンタリティを創る」とも考えられるが、
「このメンタリティがあるからこそトップになり得る」ともいえる。

そしてこの構図は「組織全体」という文脈のみならず、
「個人のキャリア」についても充分当てはまるといえるだろう。



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