クラウドファンディングプロジェクト中につき、活動報告を更新。
大学講座はこの10年ほど機会を頂いて出講しているが、
「ブラック企業問題だけに絞って解説する」
というご依頼は、2013年初頭から頂戴するようになった
トレンドテーマだ。
ブラック企業論議は多様な切り口から考えることが不可欠である。
いつも提言しているように、「ブラック企業」という言葉を使って
いる限り、本当の意味でのブラック企業問題は解決しない。
なぜなら、「いい会社」の基準が人によって違うのと同様、
何をもって「ブラック」だと言っているのか、話し手の価値観に
よってまったく違うからだ。 具体的には…
<故意に法律違反している>
・あっさりクビにする
・給料や残業代を払わない
・サービス残業を強制
・社会保険に加入しない
・「名ばかり管理職」による残業代支払い逃れ
・有給休暇を取らせない
・反社会的勢力との交流
<待遇が悪い>
・給料が安い
・昇給しない
・社会保険制度が未整備
・ペナルティ的な罰金制度
・経費や備品が自腹
<労働環境が悪い>
・長時間労働、残業が常態化
・有給、育休、産休の取得が難しい
・厳しいノルマを強制
・セクハラ、パワハラが横行
・従業員の行動監視、密告奨励
これらは全部ブラック企業の特徴だが、このうち
<故意に法律違反している>は明らかに違法であるものの、
<待遇/労働環境が悪い>は必ずしも違法とはいえない。
あくまで「その企業としては、そのようなやり方でやっている」
というだけなのだ。
このように、違法なものも合法なものも一緒くたになって
「ブラック企業」と言われるから、「ブラックだからダメだ!」
「いや、合法だし、本人が納得してればいいんだ!」と
議論が錯綜し、よく分からなくなってしまう。
違法状態は無くさなくてはいけないが、
「多少ハードワークでプレッシャーも厳しく、世間から
『ブラック企業』とも呼ばれているが、自分はそんな環境で
成長したいし稼ぎたい。だからブラックな方を選ぶ」
という選択肢もあってよい。
そんなお話をしてきた。
これからの皆さんの就職先選択にあたり、多少なりとも
ヒントを提供できたのであれば幸いである。
クラウドファンディングの【シューティングスター】
杏林大学で「ブラック企業と労働法」講演!
http://shootingstar.jp/project_report/789