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Channel: ドラゴンの抽斗 ブラック企業アナリスト新田龍が語る「はたらく」「しごと」「よのなか」
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毎年この時期になると出てくる「チャリティー番組で出演者がギャラを受け取るのはいかがなものか」問題

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考えの浅い連中が出てきて

「出演者のギャラが500万円だと!? 
 海外ならチャリティーはノーギャラが当たり前だ! 
 その分も寄付に回せ!!」

と叫び、よく分かっていないフォロワーがRTやシェアで追従する、
というのがいつもの光景だ。


感覚的にそう思ってしまう気持ちはよく分かるが、
物事はなんでも多角的に考えることが重要だ。
「一面的な見方」は実に恐ろしい。

たとえば、

「芸能人はテレビで話すだけの簡単な仕事」

などと思ってないだろうか? 

そんな人は、格安でデザイナーを募集しようとした某自治体を
批判することはできない。 

彼らが今までの人生において努力してきた結果として多くの
ファンがつき、現在の彼らの影響力に繋がっているのだ。
 
影響力がある人物が寄付を呼びかけることで、そうでない人が
やるよりも多くの寄付が集まるならば、それは投資対効果として
良いものと言えるのではなかろうか。

たとえば、ファンドレイジングのプロフェッショナル、
「ジャスト・ギビング・ジャパン」事務局長の梶川氏は
こう喝破する。

**********************************

(1)寄付集めは、コストを掛けても集まる寄付金が多ければ、
 結果として社会問題の解決に役立つ。

(2)従って、国連系では集める寄付金の25%程度をファンド
 レイジング・コスト(寄付を集めるためのコスト)として
 認めている。※ちなみに、ジャストギビングでは10%。

(3)24時間テレビでは、直接・間接の貢献はあるが、
 15億4523万円の寄付金を集めるのに、チャリティランナーは
 1,000万円、総合司会は500万円、合計1,500万円投資したと
 考えると、ファンドレイジング・コストは1%未満。
 世界的基準と照らしても、ROIは素晴らしいパフォーマンス
 と言える。

(4)これを契機に、手数料を取るのがおかしい、割合の多価の
 議論より大切なことに気がついて欲しい。
 チャリティやNPOをミッションは、「社会問題を解決すること」
 であり、大きく解決するためには、より多くの寄付を集める
 =ファンドレイジング→一人でも多くの被害者を助ける→
 しっかり社会に意義と社会問題の存在をPRする→次の
 ファンドレイジングに繋げる、のサイクルをどんどん回して
 欲しい。

(5)そもそも、このようなツッコミを受けるのは、24時間テレビが、
 財務情報を少し突っ込んで公開していないから。
 Webで説明責任を果たせば、寄付者は納得してくれる
 はずです。


**********************************

皆も、自分のアタマで考えてみよう。

<参考資料>
ファンドレイジングサイト「ジャストギビング」
http://justgiving.jp/

「公益社団法人24時間テレビチャリティー委員会」
2013年度収支報告書
http://www.24hourtv.or.jp/document/pdf/budget.pdf


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