内定めぐるシビアな現実
昨今は受験生側でも、面接対策などの事前準備を行っている人
も多いが、このような具体的な質問をどんどん繰り出されると、
演出もどこかで限界が来てしまう。結局、本質で勝負するしか
なくなるわけだ。
就職面接に至るまでの人生において、
「目標を持って、主体的に取り組んだか」、そして
「困難があってもめげずにやり抜いたか」、さらには
「経験から学び、強みを普遍的に発揮できているか」
が問われる。
確かにそれを継続するのは大変だが、大変な思いをした人は
やはり前述の「200社」に受かっているのだ。
私もこれまで8年にわたって学生向けのゼミを開講し、就活を
支援してきているが、得られる人は一人で複数の内定を得るし、
得られない人は1社も得られていない。
これはシビアだが現実に起こっていることである。
ブラック企業は、後者の弱い心に忍び込む。
毎年5月下旬。大手有名一流ブランド人気企業の内々定が
ひととおり出そろい、そのような企業の選考にチャレンジしたが
力不足で「お祈り」されてしまった就活生に。
ブラック企業は、採用の頭数さえそろえば誰でもいいのだ。
入社後、仕事についてこられない者は辞めればいいと考えて
いるから。
そんな会社に限って、
「書類選考ありません!」
「100%面接します!」
と甘い声をかける。
そして面接を受けてみると、10分程度の雑談でアッサリ
「内定です!ぜひあなたと一緒に働きたい!」などと言うのだ。
経験と実績を積むべく努力を
大企業に落ちて「自分の価値なんてないのかも…」と心が弱く
なっている就活生に、このアクションは心地よい。
ロクに考えずにブラック企業に入ってしまう瞬間である。
もちろん、これは新卒採用のみならず、中途採用でも言える
ことだ。彼らは「経験不問!」「学歴不問!」「全部不問!」
「やる気があれば!」「夢!」「希望!」「自己実現!」などと
いっているはずだから、分かる人には分かる。
本記事をお読みの皆さんには、そんな手口にハマらないように
して頂きたい。
「ブラック企業」をディスるヒマがあるなら、ブラック企業に
しか受からない自分を反省し、先述の面接を乗り越えられる
だけの経験と実績を積むべく努力していこうではないか。
最後に確認だが、この場合のブラック企業とは
「故意に違法状態を放置している企業」のことであり、
たまに情弱たちがわめく「単にハードワークの企業」
「単にプレッシャーがキツい企業」のことではない。
違法状態は無くさなくてはいけないが、
「多少ハードワークでプレッシャーも厳しく、世間から
『ブラック企業』とも呼ばれているが、自分はそんな環境で
成長したいし稼ぎたい。だからブラック企業を選ぶ」
という選択肢もあってよい。
その会社があなたにフィットしていて、長く勤められるようなら
それでよし。 もし何かしらミスマッチがあって転職することが
あったとしても、あなたのブラック企業勤務という経歴は
転職市場において立派に機能することもあるだろう。