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Channel: ドラゴンの抽斗 ブラック企業アナリスト新田龍が語る「はたらく」「しごと」「よのなか」
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「ブラックバイト」はダメだが、「ブラックと呼ばれる企業でのバイト」は有益だ(3)

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「ブラックと呼ばれている企業でのアルバイト」
=「ブラックバイト」 …ではない!

では、巷で「ブラック企業」と呼ばれるような会社のアルバイトが、
すなわち「ブラックバイト」なのだろうか?

ここは誤解をしている人が多い点なのでキッチリ説明しておくが、

「ブラックと呼ばれている企業でのアルバイト」と
「ブラックバイト」はイコールではない。

「ブラックバイト」はあくまで悪意がある個々の会社や店の問題。
「世間からブラックと呼ばれる企業」はそれだけ話題になる
=全国で展開できている
=業界では大手企業であることが多く、
 大手だけにその辺の労務管理はしっかりしていることが多い、
ものなのだ。

私は仕事柄、まさにそういった「ブラック企業」と呼ばれる会社
の従業員にインタビューする機会が多いが、その会社の正社員
なのか、アルバイトなのかで会社への評価はだいぶ異なる
ことが多い。

経験上、正社員の中には低賃金でこき使われている大変な
境遇の人がいることもあるのだが、アルバイトの人はおおむね
仕事内容や待遇に満足している人が多いものだ。

たとえば、某大手アパレル企業のアルバイト経験者複数に
インタビューしたときのこと。その場で出たポジティブな意見を
まとめると、だいたいこのようなところに集約される。


「マニュアルが整っているので、やるべきことが明確。
 自分のできる範囲もだんだん広がっていくことが
 実感できるので、成長を感じられやすい」
「正社員は残業で大変そうだったが、私たちアルバイトは
 ほぼ残業もなく、定時であがれた」
「挨拶など基本的なマナーについては指導が厳しかったが、
 社会人になってから役立った」
「最初は接客など慣れなかったが、だんだん提案できる幅が
 広がり、コミュニケーションに自信を持てるようになった」
「全商品が3割引で買えるのが嬉しい」


福利厚生的な面はさておき、

「できる幅が広がり自信になる」
「コミュニケーション力が高まる」
「マナーが身につく」

など、まさに得るものが多い環境といえるのではなかろうか。

同社以外でも、某大手ファストフードチェーンでのアルバイト
リーダー経験者は

「マニュアルにも載っていないようなことが日々起こるが、
 それに対処していくうちに、臨機応変な対応力や、
 効率的に仕事をこなす力が身についた」

と述懐していたし、コールセンターのオペレーター経験者が

「クレーム対応などで精神的に辛いこともあったが、就活では
 言葉遣いやマナーを評価され、希望企業に内定できた」

と喜びの報告をしてくれたこともある。

俗にブラックと呼ばれる会社の中には、残念ながら違法行為
を故意におこなうような、私利私欲にまみれた会社が存在する。

一方で、単に「要求水準が高い」「成長が要求される」という
ような、ハードワークな環境を忌避して「ブラック」と言い捨てる
ケースも存在する。

世間からブラックと呼ばれる会社であっても、それが
あなたにとって「成長できる」「スキルが身につく」
「稼げる」といった価値観に合致した環境であれば、
思い切って飛び込んでみるのも一つだ。

あなたはそこでのアルバイト経験を通して、コミュニ
ケーション力や臨機応変な対応力を大いに磨ける
可能性があるかもしれない。

もちろん、そんなあなたを喜んで迎え入れたいという会社も
多くあるはずだ。


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