こんな実態の裁判所に入ってしまった裁判官の中には、精神的に
病んでノイローゼになる人も多い。ほかにも、うつ病になって
痛ましい自殺を遂げた裁判官、自宅を出て何日も徘徊していた
裁判官、裁判長からのパワハラに悩みノイローゼとなった裁判官
等、問題が多発している。
こうした事柄の多くは公表されず、そのような裁判官が退官に
追い込まれるかたちで隠蔽されているという。 そして、このように
して事件当事者の心の痛みを理解することなく、良心や良識
を捨て、淡々と大量に事件を処理できる人間だけが、裁判官
としての出世の階段を上る状態になってしまっている。
民事の裁判官の間では
「先月は和解で12件も落とした」
「今月の新件の最低3割は和解で落としてやる」
などといった会話が交わされており、そこには良心の片鱗もない。
最高裁事務総局も、多少でも自身の意見を表明する裁判官は
出世させない。むしろ、現在では、裁判官を採用する段階から、
その人間の能力だけではなく、その人間性が「組織(裁判所)
に馴染む人物かどうか」を考慮して選ぶようになってきている
という。
このような実態の下、司法制度改革の一環として裁判員制度が
導入され、一般市民が重大な刑事事件裁判に参加するように
なった。施行から今月21日で5年が経過し、5万人を超える裁判員
が刑事裁判に参加したが、この制度のあり方もゆがんでいる。
裁判員となった市民には非常に広い「裁判員の守秘義務」が
課され、少しでもその内容を明かせば6カ月以下の懲役又は
50万円以下の罰金刑とされている。これにより、裁判員の意見
を密室で抑え込むことが可能となってしまっている。
「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」では、評議の
過程だけでなく、その中で述べられる裁判官の意見なども
すべて守秘義務の対象となっている。
この規定の主旨は、裁判員の個人情報等を被告人による
報復等から守るためであったはずだが、評議における
裁判官の意見まで秘密情報となっている理由は疑問で、
改正を求める声が多い。
このような裁判所の実態に嫌気が差した瀬木氏は、2012年3月
に退官して大学に移った。著書や論文が多く、自身の意見を
主張することが多い瀬木氏もまた、最高裁事務総局にマーク
されていた可能性があり、当時勤務していた裁判所の所長
からの退官、転職を口外することもギリギリまで禁止され、
その上退官前に、たまっていた有給休暇の消化を申請すると
「そんなに有給休暇を取らずに、早く辞めてはどうか」
などと執拗に迫られ、事実上早期退官を強要されたという。
これは憲法78条の裁判官の身分保障の主旨に反する行為
である。
本書の内容からすると、これまでの報道で一部の裁判官の
問題とされていた事実が、実際には一部ではなく、想定して
いたよりも広範囲に及んでいる可能性があり、まさに
「絶望の裁判所」と呼ぶのが適当な実態だいえる。
裁判官による性犯罪、なぜ多発?被害者を恫喝、
和解を強要…絶望の裁判所の実態
http://biz-journal.jp/2014/06/post_5013.html