良心に従い、公正な立場で判断をすることが求められる裁判官の
不祥事が後を絶たない。
6月1日にも、法務省の幹部で元裁判官の近藤裕之前財産訟務
管理官が、法務省内の女子トイレで盗撮したとして送検され、
罰金刑を受けた事件が記憶に新しいが、ほかにも近年は裁判官
による児童買春やストーカー、盗撮、痴漢など、性犯罪事件が
頻発している。
また、裁判の本業でも多数の問題が露呈している。
私はこれまで、判決を書きたがらず、なんでも和解にするよう
強要、脅迫する裁判官の問題や、裁判官の大手弁護士事務所
への天下りと癒着問題などを取り上げ、報道してきた。
昨年は、東京地方裁判所民事部の裁判長が、性犯罪被害者女性
にまで和解を強要し、女性に
「和解しなければ、被害者女性を本人尋問で何度も法廷に
呼び出すぞ。長時間の尋問になるだろう」
と非公開法廷で恫喝していた問題が発覚し、この事実を法務省
や東京地裁所長にも取材して報じた。
(強制わいせつ事件で、東京地裁裁判官が被害者女性を
“脅迫”疑惑?)
もちろん一部の裁判官であろうが、これらは裁判官による脅迫や、
重大な人権侵害というべき行為ではないかと、世論から非難が
高まり、裁判所の中はどうなっているのだろうかと疑問の声も
多くなっている。
そんな中、衝撃ともいえる裁判所の内部事情を告発する
『絶望の裁判所』(講談社現代新書)が2月に出版され、法曹界
はもちろん、海外も含むジャーナリズムの世界でも大変な話題
となっている。本書は単なる内部告発ではなく、冤罪等の司法の
病理を構造的に説き明かした書籍として注目されており、発売
2カ月半で6万5000部を売り上げるベストセラーとなっている。
著者は、裁判官として33年にわたり勤務し、最高裁判所にも
2度勤務したほどの元エリート裁判官で、現在は明治大学法科
大学院の教授である瀬木比呂志氏だ。
本書には、裁判所の中枢に勤務した人間でなければ知り得ない
裁判所や裁判官の実態と、その構造的な問題が正確に
描かれている。(つづく)
裁判官による性犯罪、なぜ多発?被害者を恫喝、
和解を強要…絶望の裁判所の実態
http://biz-journal.jp/2014/06/post_5013.html